前回の自律神経の解説では、ざっくりと神経系を中枢と抹消に分け、中枢神経を脳と脊髄とし、抹消神経を3つの種類に分けることで、それぞれが連動して働いている事実を述べた。末梢神経は以下のとおり。
- 運動神経ー 手足、首など、全身の筋肉を動かす神経
- 感覚神経ー 熱い、痛い、気持ちいい、お腹の調子が悪い、気分が悪いなど何かを感じるという神経はぜんぶこの神経である。
- 自律神経ー 交感神経と副交感神経、あなたや私が生きていく上で、ものすごく大事なのに普段意識してもらえない損な神経。
今回は、なかなかイメージしにくいにもかかわらず、様々な不調や、現代の病気の原因に深く関わる自律神経に眼をむけていきたい。
自律神経を理解することの基礎は、交感神経と副交感神経をイメージできること
自律神経は、以下2つだけです。
- 交感神経
- 副交感神経
私の話を例にして、自律神経の説明をしていきたいと思う。
先日、私はマラソン大会に出場する機会があった。
普段の私は、たまに走ることがあるくらいで、それも連続して長い距離を走ることはない。
まあ、自分のペースでゆっくり走れば完走できるだろうという、軽い気持ちで参加してしまった。
距離は10キロ。
途中、2キロまではまだ余裕があり、このままのペースを維持できそうな予感。
しかし3キロを越えたくらいから、内臓(私の感覚としては胃腸)が締め付けられるような感覚を感じるようになり、徐々に呼吸に影響がでるようになった。
この時、私の自律神経はどんな動きをしていたのだろうか。
私は、交感神経と副交感神経の働きの違いを、私自身の苦しみのなかで、はっきりと感じることができた。
そのときの状況に応じて、交感神経と副交感神経、どちらかの機能が優位になる
走るためには、身体の筋肉を使わなければならない。
筋肉が力強く働くには、たくさんの酸素と栄養が必要だ。
大量の新鮮な酸素と、筋肉の栄養源となるブドウ糖を送り続けるには、心臓と肺にフルに働いてもらわなければならない。この時、心臓はバクバクである。肺も酸素と二酸化炭素を取り替えるのに必死の状態。
こんな状態を体内で起こすのが交感神経の働きである。(交感神経の機能優位)
この時、副交感神経はどんな働きをしていたのだろうか。
副交感神経は、しっかりとその働きを休めることにより、交感神経の働きを邪魔しない。
もし、副交感神経まで同じように働いてしまえば、心臓の拍動は抑えられ筋肉も働けないのでそもそも走ることなどできなくなる。
こんな感じで交感神経と副交感神経は、それぞれが状況に応じて働く力を上げたり下げたりしながら、”うまく協調”している。
マラソンで走る前半3キロまでは、私の自律神経の働きは協調性が保たれ、順調だった。
交感神経と副交感神経のバランスと協調が重要すぎる理由
さて私のマラソンの話にもどる。
3キロを過ぎた頃から、胃腸が締めつけられるようになり、いくら深く呼吸しても苦しい状態。
普通であればこんなことにはならないのに、走るのが苦しいというストレスが、異常な交感神経の過緊張をつくってしまった。
この場合、副交感神経の働きが抑えられて、胃腸の働きが止まる方向にいくのは当然だ。
筋肉に多く血を回す必要があるので、胃腸への血液の供給は少なくなる。
この状態、適度なストレスならば身体に異常を感じることなどないが、ここ最近内臓の調子がよくない私の身体には、適度なストレスではなく、過度なストレスになっていたのだろう。
私の感じた、どうしようもない内臓からくる苦しみは、交感神経と副交感神経のバランスと協調が崩れた結果だ。
あなたが病気ではないのに、または病院の検査では異常なしなのに、常に不調を抱えているのなら、その原因は自律神経にある可能性は高い。
私が途中でマラソンを棄権していたら、またはいつものように、歩いたり走ったりしながら苦しくないやり方をしていれば、あともう少しで、意識を失うほどまでには追い込まれなかっただろう。
これは私の生き方。ほとんどの人は、もちろんあなたも自分の都合で無理をする。
そんなときでも自律神経の交感神経と副交感神経は、あなたの意思とは関係なく、あなたの生命を守るために仲良く協調することで、ホメオスタシス(恒常性)を維持してくれているのだ。
今回話したことは、自律神経系の、ほんのさわり部分である。
交感神経と副交感神経の協調性の大事さ。
身体の神経系において、実際の人間社会以上に、協調するということが不可欠だということを、私は身を持って知ることができた。
次回も少しずつ深掘りしつつ、書いていきたい。
コメント